誰だったかな?思い出せないけど、とにかく誰かが言ってた。 ”死”は逆らえない程の強い強い睡魔みたいなモノじゃないのかな、って。それは我慢していたら起きていられるとかじゃなくて、気が付いたら朝だった、くらいの強制的な睡魔。 骸が(まさかまさかで)ボンゴレに敗れて、眼をつぶる瞬間、そんな事を思い出した。 骸と眼が合った。あたしを見て、骸は驚いたように瞳をめいいっぱいに開いて、そして閉じた。あたしも瞳を見開いて、それをスローモーションで見てた。 『の声は素晴らしい目覚ましですよ』 骸はいつかそう言っていたのに。千種がダメでも犬がダメでも、あたしが呼ぶと骸はすぐに起きるのだ。睡魔が襲うときだって、あたしが話せばずっとずっと起きていて聞いてくれる。 なのに、その瞳は閉じられた。 「骸っ!!」 あんなに大きな声で叫んだのに、 ボンゴレにやられたと頭が認識したとたんに、抗えないほどの何かに襲われた。酷く強力な睡魔に似ている。 視線を横にずらせばがいた。瞳をこれでもかというほどに開いて、信じられないという表情で僕を見ている。 その顔をずっと見ていたいと思うのに、瞼が意思とは関係なく降りてくる。 『骸、起きてよ。寝ないで』 がそう言えば、声を発すれば、睡魔に負ける事なんて無かった。目覚めればいつもが微笑んでいて、気が付いたら孤独な朝なんてことはなかったのに。 が見えなくなって、そして何も考えられなくなった。 が僕を呼ぶ声が、確かに届いていたのに、 なのに、負けてしまうなんてこれが初めてだ。 貴方が僕が 目覚めた時、きっと あたしはは 居ない。 あたしは僕は この強制的な睡魔を死より何より憎むだろう。何故なら、死は気付く事も無いけれど睡魔は、気付いたら孤独な朝、だ。 そんなの嫌だ、ごめんだ。あぁ、なのに逆らえない。”死”とはこういうものか?いや、死んだほうがマシだ。
睡魔
死より残酷な眠り 誰か 骸を僕を 殺して。 |