骸のキスは痛い。骸のキスは苦しい。 喉元に優しく添えられた冷たい手が、どうしようもなくあたしの首を締め付けるのだ。 骸のキスは毒だ。 骸はその姿であたしの胸までも焼く。 骸はその存在だけであたしを殺せるはず だった。 ・ ・ ・ ・ ・ 久しぶりに見たは酷く痩せこけ、顔色も悪い。 だけど僕を見る、爛々と輝く瞳の色は、僕の世界で唯一彩りを持った色は変わらない。きっと、彼女が胸に抱いたことだって、何も変わってはいない。 だって、僕の、 「久しぶりですね。元気にしてましたか、」 が口を動かす。そして僕の名を紡ぐ(はずだ)、 「アナタ、誰?」 「…?」 「だぁれ?」 僕の世界の唯一の彩りである君よ、その君が何故そんなことを言う? 君の世界の唯一の彩である僕を、
忘れた。
この焼け付く胸の痛みの理由でさえもわからないの。
だけど、これは直感だ。目の前に立つこの男は美しき死神。
彼の存在はあたしを 殺せる 。 |