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「はい」 「・・・ありがと」 僕のベッドに我が物顔で座っている杏花にホットミルクを手渡し、僕もまた隣に座る。 「それで今日はなにがあったの?」 「別に・・・何もないわよ」 「うそだね。なんでも無いなら杏花がここに来るわけ無いじゃない」 「・・・」 黙ってしまった杏花をしりめに温かいホットミルクを一口飲む。 こうなってしまった杏花は再び口を開くまでに時間がかかる。でも、必ず話だすから放っておく。 僕達―――僕と杏花は2人でよく会った。 会う場所が僕の部屋だったり彼女の部屋だったり、どこか外であったり様々であるのと同様に、ただ話しをしたり抱き合ったりとすることも様々だったけど。僕達は別につきあっているわけじゃなかった。 「ホントに何もないわ。ただ・・・寒かったから。」 バイトを終えて家まで帰る。 すっかり日も落ちて暗くて寒い道を歩く。誰もいない家を目指して。 そんな時、見上げた家には明かりがともり笑い声が零れていて、きっととてもあたたかいんだろうなって思ったら、どうしようもなく惨めで一人でなんていられなかった。他人の温もりが恋しくて、それが無いと自分を肯定できない。 そんな時、あたしは不二を求める。 凍えたココロ。 あたしはきっと寂しいんだ。 話し終えた杏花を後ろから抱きしめて、ホットミルクを飲むように促した。 僕の体温とホットミルクで杏花のココロのコオリを溶かす。 溶けたコオリは涙となる。 「杏花はあいかわらず泣くのがヘタだね」 「・・・悪かったわね」 「僕は悪いことだなんて思ってないけど?」 一人じゃ泣けない弱いキミが好き。 僕の前でだけ流す雫は世界で1番キレイなモノ。 泣いた後、少しばつの悪そうな顔をして、 「またかっこ悪いトコ見せちゃった」 そう言って恥ずかしそうに笑うキミが好き。 僕はキミを狂おしいほど愛していて、キミは僕を好きなんかじゃなくて、 弱くて、愚かで、不恰好な僕ら。 それでも僕たち2人共、 お互いがいればそれで良かった。 |